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踏み留まった話


首を吊ろうとして踏み留まった。
記憶のある内に、理性のある内に、記録しておく。

10年前に初めて精神を病んだ時から、
ずっと心の支えにしていたものの一つが、
何の前触れもなくぽっきりと折れてしまって。

始めは事態の詳細を把握するのに必死で、
そのあとに途方もない虚無感に襲われた。
食事をしたはずだけど、味は覚えていない。

呆然としたまま皿洗いと歯磨きを済ませて、
そうしている間に、感情が迫り上がってきて、
涙が止まらなくなった。
それが、知らせを聞いてから1時間後くらいのこと。

そこからはあまりよく覚えていない。
ただひたすら大声を上げながら泣いた。
顔中から涙やら鼻水やら垂れ流しながら、
ひたすら泣いていたのは覚えている。
とにかくつらくて、かなしくて、
けれど自分ではどうしようもないことだし、
でもだからこそつらくてかなしくて苦しかった。

意識が戻ったのは、泣き始めてから3時間くらい経った頃。
頭がぼーっとしていた。
寒かったので、ふらふらしながら布団に入って、
蹲りながらぐちゃぐちゃ考え始めた。

いろいろなことが頭の中を駆け巡っていたけれど、
思考を占拠していたのは
「二度とこんな気持ちになりたくない」
ということだけだった。

「二度とつらい思いをしたくない」
「他人を心の支えにしてはいけない」
「自分が生きている限りはいつか必ずまたこんなことになる」
「もう二度とこんな気持ちになりたくない」
「それならば 今 死ぬべきだ」

死ねばつらくない
死ねば悲しくない
死ねば苦しくない
死ねば心は砕けない
死ねば楽になれる
今死ぬべきだ
今までずっと先延ばしにしてきたけれど
今こそ死ぬべきだ

そう思って、首を吊った。
頭がぼーっとして、耳も詰まってきて、
もうすぐ意識が飛ぶな、
と思ったら紐を緩めていた。

何故、そうしたのかわからなくて、
「そうだ、遺書を書けばいいんだ」
と思って、机の上のメモ用紙に
「もうにどとこんなことになりたくない
 もうつらいおもいはしたくない
 またつらくなるまえに しにます」
と乱雑に書いて、
すぐさまその上からそれを否定するように
「死んではいけない 死んではいけない」
と何度も何度も書いた。
遺書の文章が全部見えなくなるくらいぐちゃぐちゃに書いて、
ペンを置いて蹲った。

「死にたい」「死にたくない」
「死ぬべきだ」「死んではいけない」
ぶつぶつ呟いて、ぐるぐる考えて、
「薬を飲もう」と思いついた。
このとき既に深夜になっていて、
普段から寝る前に飲んでいる精神安定剤を服用。
ついでに調子が悪い時用に貰っていた頓服も飲んだ。

「死にたい」「死ぬべきだ」
という言葉が出てくる度に、
「死んではいけない」と何度も呟いた。

「死んではいけない
 理由を考えてはいけない
 死んではいけない
 理由を考えてはいけない」
「いつも通りに
 普段通りに
 何も考えてはいけない」
このフレーズを何度も何度も無心にひたすら呟きながら、
なんとか入浴をして、就寝。



これが、昨日起こったこと。
今でも首を吊る衝動に駆られるけれど、
「死んではいけない」と繰り返して踏み留まっている。

冷静になって考えれば、
死んではいけない理由なんて存在しない。

けれど、死ぬのをためらうようなら、
少なくとも今は死ぬべきではないのだろうと思う。

死んではいけない理由なんてない。
死んでいい理由もない。

世間に溢れる「死んではいけない」という言葉は、
体のいい呪いだと思う。
理由はないが「死んではいけない」。
儂もその言葉に呪われている一人だ。

死にたいけど、死んではいけない。
そういう呪いだ。
自力で解くことのできない、
タチの悪い呪いだ。


今、儂は、死なないようにするので精一杯だ。

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